沖縄県高江に通い、米軍基地に対峙する人たちの様々な表情を捉えたドキュメンタリ写真家である、平井茂さんのモノクロ写真展示を開催します。

現地の空気感が伝わってくる作品を、ぜひこの機会にご覧ください。

 

期間:2017年1月22日(日)~1月30日(月)
※1月28日(土)14時~16時は、イベントがあるためご覧いただけません。

会場:すみれや2階スペース

入場料:無料

 

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平井茂さんからの挨拶文

 

ヤンバルの美しい森に包まれる高江で、人々は怒り、嘆き、闘っていた。

2016年8月5日、N1裏テントの国による強制撤去期限の前日、沖縄県東村高江に足を運んだ。

県道70号線では、新たなオスプレイのためのヘリパッド建設に必要な砕石を運ぶトラックを止めるため、阻止活動が繰り広げられていた。

人々はトラックの前に身を投げ出し、その行く手を阻んでいた。そして、500人ともいわれる機動隊の大量投入で、国は、彼らを排除していた。

報道機関の証であるPRESSの腕章を付けた記者も同様に報道の自由を阻害されいた。

ここは本当に日本なのだろうかと思った。

ヤンバル特有のイタジイ(スダジイの沖縄での地方名)の森は美しく、鳥や虫、カエルたちの声が響き合っていた。

その森の奥で、米軍の基地建設のために、多くの木々が無残にも切り倒されていた。

建設現場の近くで、特別天然記念物であるノグチゲラが、木を幹を突く、ドラミングを行っていた。阻止活動の人々が建設現場に入らないように設けられた柵の上に、絶滅危惧Ⅱ種のキノボリトカゲが歩いていた。

自然は鳥は、小さな生き物たちは何も知らない。悲鳴をあげることもできない。

そして、声を上げた人々は、森の中でも機動隊に強制的に排除されていた。

高江に住む子供たちが言っていた。「基地なんていらないよ、やだよ」って。

この言葉は新聞やテレビが伝えるどんなニュースより、現実を物語っているし、

真実を伝えるものだと思った。

時に目の前で自然が壊され、阻止活動する人々が無力に機動隊に排除される姿を見ると、

くやしくて、歯がゆくて、涙がこぼれ落ちる時もあります。

それでも、僕はこれから先も沖縄に足を運び、沖縄で起きる不条理な出来事を記録していきます。

今回展示させて頂いた写真は昨年10月中旬から11月上旬までに撮影したおよそ6万枚の写真の中の一雫です。

現場はもっと怒りに満ち、悲しみに満ち、虚しさに満ちていました。

それでも、誰も前に進むことを諦めない、力強さに満ち満ちていました。

沖縄で何が行われているのか、それは一体なんなのか、僕の写真で少しでも伝えることができたらと強く思い、この展示をさせていただきました。

同時に展示させて頂いたカラーの写真は、ハンセン病の父を持つ土木技術者の方が現場で行われてきたずさんな工事の実態を解説したものです。

彼は言います。

国は隔離政策によりハンセン病患者を差別してきた。そして、沖縄に基地を押し付けるという差別を今も行っている。

私はこれからも差別と闘うために、高江で、そして辺野古で行われるであろう工事の不備を指摘していくと。

平井 茂