京都にあるごま油の会社、山田製油さんの工場見学に行ってきました。
山田製油さんのごま油は、風味が良く美味しくて、周りでもファンが多い人気商品。一体どんな製法で作られているのだろう、他の商品と何が違うのだろう?と、とても興味を持って行かせていただきました。
工場は京都に二ヶ所。南丹市の胡麻工場と西京区の桂工場があります。
まずは桂駅から1時間弱ほど車を走らせて、南丹市の緑深い環境のなかにある胡麻工場へ。(胡麻工場の「胡麻」は、食品名でなく地名です…!)
工場に着いたとたんに香ばしいごまの香り。中に入ると、明るくスッキリとした空間が広がっています。
ここではごまを煎ってから圧搾し、湯洗い、熟成、火入れ、瓶詰めするまでの工程を行い、4種類のごま油が作られていました。
山田製油さんのごま油は、良質のごまを程よい具合に煎ってから、圧搾機にかけて油を絞り出します。
実はごま油を作る製造法はさまざまです。中には1回搾ったごまのしぼりカスをさらに薬剤で溶かし、2回油を抽出する製法が取られている会社もありますが、こちらではごまを1回圧搾するだけ。しかも原料のごまを100%とすると、油になるのはわずか50%のみだそうです。(残りのカスは飼料などに使われます)。こうすることで、えぐみや雑味が出ず、旨味だけが残るのだそうです。余計な添加物も加わらず、純度の高い油になります。
※現在の食品表示法では、その製法の違いがわかりません。ラベルに書いてある「一番絞り」というのがヒントになります。
そして、搾った油は湯洗いという工程でゴミが取り除かれ、2週間の冷却熟成期間を経て、薪による火入れがされます。
油は搾りたて一番が美味しいものかと思っていましたが、搾りたてと熟成後のものを味見させていただいて納得。熟成後のもののほうが断然香りと旨味がありました。
(油は原料によってさまざまな特徴がありますが、ごま油は「火に強い」と言われています)
意外だったことは、イメージしていた機械による流れ作業・大量生産とは全く異なり、一つ一つの作業が人の手によってなされていること。その日の気温、湿度、季節に合わせ、職人さんの長年の感覚を頼りに煎り方や火入れを調整し、そのときに出来る一番美味しいごま油が作られる努力をされていることでした。良いものを作るための強い思いと熟練の技を感じました。
胡麻工場の大槻さん、寺阪さんと営業の小林さん。丁寧に説明してくださりありがとうございました!
次に行ったのは桂工場。炒り胡麻、ねりごま、ラー油、調味料など、胡麻を加工した商品が作られています。
(ここには工場兼本社があり、ごまがたっぷり食べられるイタリアンレストラン「ピッコロモンド・ヤマダ」さんや山田製油さんのごま製品が買える売店もあります!)
桂工場では、職人の川島さんからお話を伺いました。
こちらでは毎日大量の炒り胡麻が作られています。ごま油を作るときと同じく、その日の温度湿度を見ながら職人さんが長年の感覚を駆使して手際よく作業されていました。
タイマーなどは設置せず、パチパチと弾ける音、色、香りで煎り加減を判断します。ふっくらさせるために途中でコップ1杯の水を投入したりも。この製法は教えられたものではなく、職人さん自ら研究を重ねて今に至ったものなのだそうです。
さらに別の場所には、ねりごまを作る機械がありました。原料は100%ごまのみ。なんと1時間に300g(2~3袋分)しか作れないそうです。少しずつ丁寧にすりつぶすことで、まろやかで時間が経っても分離しない練りごまが作れるそうです。
その他にも、すりごまやラー油、各種調味料などごまを使った様々な商品が作られていました。材料となる調味料には、どれもとてもいい素材が使われていることにも驚きました。
今回伺った2つの工場では、職人さんを始めとするスタッフの方の手で、そのときに出来る最高に美味しいごま製品を作る努力がされていました。機械の助けを借りていても、ほとんど人の手と感覚によって作られている印象です。
良い素材選びや丁寧な製法はもちろん、今の味にたどり着くまでの試行錯誤の過程や、作ってからなるべく新鮮なうちに届けるようにしているこだわりは、こんなに良い品質のごま油を提供している会社は他にあるのかな?と思うほどでした。
もちろん、実際に食べてみるとその違いが一番よくわかります。
ごま油はシンプルな素材にひとかけするだけでふわっといい香りがしてごちそうになり、炒めものにはらー油をかけると、高級中華の味。
練りごまは、ハチミツと一緒にトーストにかけたり、葛と豆乳に一緒に溶かしてごま豆腐を作ったり、坦々風スープを作ったりと、一袋冷蔵庫にあると重宝します。
良い調味料は、素材を引き立て、料理の腕を上げてくれる!と実感できます。
すみれやでは、山田製油さんのごま油、炒り胡麻、ねりごま、ラー油を扱っています。ぜひ一度手にとってみてください。本当に料理が美味しくなりますよ。(藤倉)