すみれやで種の交換BOXを設置してから、5月21日で丸一年が経ちました。
これまでさまざまな種が集まり、たくさんの方が種を持ってかれました。
野菜や果物以外にも、雑穀、小麦、ハーブ、ナッツ、不思議な植物など、園芸屋さんやホームセンターでは手に入らないようなレアな作物の種の数々。

プロの農家さんよりも、好きで作物作りをしている方の利用が多く、日々の暮らしの傍らで色んなことをしている方がいるなあと種を通しておもしろいお話をたくさんお聞きしてきた一年間。思っていた以上に多くの方の種への関心の高さを感じました。

もともとこの種の交換BOXを設置した理由の一つは、多様な種を受け継いで、食べもの・いのちを守っていきたいと思ったからなのですが、最近とても気になるのは「主要農作物種子法」の廃止の法案が国会で可決してしまったこと。

これまでは、稲・麦・大豆など毎日の食事に欠かせない農産物の優良な種を、自治体が管理して普及に努めてくれていましたが、この法が廃止されることで、民間品種の普及が奨励されるようになるそうです。
民間品種といってもいろいろですが、中には海外企業の遺伝子組み換え作物の種子が入り込んだり、民間の特許種子の普及で、これまでのように自由な種の交換や品種改良ができなくなったりする可能性もあるそうです。また、種子法のおかげでこれまで安価に流通していた良質な種も、無くなってしまうかもしれません。

10年後、20年後、30年後、日本の農業がどのような状況になっているかは誰にもわかりませんが、今当たり前に食べている各地域や風土で育ってきた多様な作物が、気づいたら消えてしまっていた、となったら…?
大切なものが失われる前に、すみれやでは何ができるだろう?小さなBOXを前に、日々考えています。(藤)