すみれやで販売している菜種油や胡麻油を作っている島根の影山製油所さん。7年前に「使い捨て時代を考える会」の職員だった友人にマルシェで出店中だった当時の社長の影山陽美さんに引き合わせてもらいました。私は影山製油所の胡麻油の大ファンだったのです。ずっと工場に伺いたいと思っていたのですが、今年の夏休み入ってすぐにやっと島根に向かうことができました。

昨年末から社長を引き継がれた狩野さんに商品の説明や工場の案内をしていただきました。いつも狩野さんに注文の連絡をしていたので、実際にお会いできたのが何よりも嬉しかったです。

しっかりと焙煎して香りが良い胡麻油がすみれやではよく売れているのですが、お話を伺っていたら影山製油所さんの菜種油の素晴らしさももっと知ってもらいたいと思いました。種から製品にするところまで、妥協のない徹底した工程なのです。

そもそも、菜種油の原料の菜種は日本では99%が輸入に頼っていて、その多くは遺伝子組み換えと言われています。そんな中、影山製油所さんではエルシン酸を含まない品種の菜種を、自社で種取りをして、契約している農家さんで作ってもらい、全量を買い上げています。刈り取りのタイミングは、もともと農業普及員だった狩野さんご自身が契約農場に行って判断するそうです。次の年も作り続けてもらうために、良い値段で菜種を買い取っているとのこと。スタッフの女性たちは、1年中、仕事の合間に自社採取した種からよくない種をよる作業をしています。

薪を焚いて釜で菜種を30分以上炒り、圧搾法による一番搾りで菜種油を作っています。絞った油を和紙の板を何重にも設置した装置を通して濾過し、2回湯洗いをします。とてもシンプルな工程です。

それに対して一般の製油メーカーの菜種油やサラダ油の主流の搾油法は、搾りかすからノルマルヘキサンという溶剤を使ってさらに油を抽出します。そのため、精製段階でリン酸や苛性ソーダを加えて脱酸したり、脱色、脱臭、脱ロウしなければなりません。こういった工程を経ると、本来のビタミン Eを失うので、油の酸化を防ぐために酸化防止剤も添加します。

この油で揚げ物をすると、揚げているうちに油に泡が出てへたってきます。これは油が酸化しているしるしです。影山製油さんの油は何回揚げ物をしても泡は出ないで、最後まで使い切ることができます。化学薬品や添加物をいっさい使っていないため、菜種本来の独特な香りが際立ちます。

私が一番びっくりしたのは、これらの作業を全て狩野さんとパートの女性4名でやっているということでした。もちろん、瓶詰めやラベル貼り、そして発送などもされています。油を絞る作業は月に1回くらいだそう。にこにこと出迎えてくれた女性たちが実は職人さんだったのです。

胡麻油も圧搾法で同じように作っています。原料の胡麻はアフリカの赤道周辺の国々の小さな農家さんが作ったものを使っています。無農薬です。
また、いつも影山製油さんから送っていただいているハトムギですが、生産者は「JA島根」と表示されているのですが、最終的な調整(脱穀など)をJAでやっているということで、ハトムギ自体はトムTOMファームさんが農薬を使わずに作っています。こちらは影山製油所さんの菜種も契約栽培している農場です。

規模を大きくするよりも、納得のいく商品を作り続けている影山製油さん。ぜひ菜種油も一度お試しください。(春)