先週、カンカンに日が照っている中、大原でお野菜を作っている若い農家さんお二人を訪ねてきました。お二人とも、すみれやにお野菜を卸してくださっている方です。
まずはウエンダ・アラヤファームの新谷さん。新谷さんは農家としてお野菜を作り始めてからまだ2年目なのですが、その前は京都でもかなり充実した品揃えの酒屋さんで働いていました。冬は京北の蔵でお酒を造る出稼ぎをするそうです。
さて、新谷さんのお野菜の特徴は鉄ミネラル剤を畑に散布しているということです。この鉄ミネラル剤というのは、京都大学の野中鉄也先生が考え出した技術です。と言っても方法は至って簡単。お茶に鉄(釘でも何でもいいのです)を入れて、鉄分を溶かし出し、それを畑に蒔くだけ。それだけで、あくやエグみが少なくて甘いお野菜が作れるのです。実際に新谷さんのピーマンを食べてびっくり! 本当に甘くておいしいのです。これだったら子どもでも嫌がらなさそう。
山に広葉樹林が茂っていて、その落ち葉を通った水を使って田畑を耕していた時は自然とミネラル分が水に溶け出して、供給されていたのですが、最近は山には植林によって針葉樹林が多くなってしまったり、荒れてしまっていたりで、水に溶け出すミネラルが貧弱になっているのだそうです。これは田畑だけでなく、水が流れ出る海の生態系にも大きな影響を与えています。また、ミネラル不足のものを食べている人たちも自ずとミネラルが不足がちになっています。山の自然を豊かにすることは、私たちの身体や環境を立て直すことにもつながるのですね。
ただ、そんな急には環境は変わりません。そこで、野中さんは自然界で不足しているものを人為的に化学の知識を応用して補う方法を考えました(ちなみに野中さんの専門は機械工学のエンジニアです…)。使っているものは植物(植物残渣)と鉄のみです。それが、鉄ミネラル野菜です。
そんな難しいことを言わなくても、新谷さんのお野菜は見ただけでもプリプリとおいしそうな声を発しています。ぜひ一度食べてみてください。
さて、新谷さんの畑から車で少し行ったところに濱崎さんの新しい畑があるので、そちらにも顔を出しました。濱崎さんのお野菜は昨年から入れているのですが、結構人気です。お野菜って、作る人の性格が出るものだなぁと、野菜を扱い始めてからつくづく感じています。彼のおおらかさと丁寧さがお野菜からにじみ出ていて、お客さまもそういったことを感じるようです。
畑を初めて5年目の濱崎さんは大原の他に、花背と八瀬にも畑を持っています。花背のジャガイモ畑はこの間の雨でほぼ全滅してしまったそうです。本当に農家さんてリスクありすぎ。
そして今は大原で新しく借りた土地を開拓しながら、いろいろなお野菜をつくっています。ちなみに、濱崎さんも鉄ミネラル剤を少し試し始めているそうです。
お二人とも農薬は使わずにお野菜を栽培しています。腐葉土やビール酵母などを使って作られた「JA活力」などを主に畑に入れています。畑によっては新谷さんは牛糞、濱崎さんは象糞を少しだけ入れています。
私が訪ねた日は祝日だったので、もしかしたらお休みしているかな〜と少し思ったのですが、お二人とも当たり前のように働いていました。夏野菜は毎日どんどん実っていくので、なかなかお休みしにくいですよね。そういう時期にこそ、彼らのお野菜をどんどん購入していきたいものです。そして、彼らがもっと安定して農作物を作り続けていってもらえたらと思います。
それにしても暑い日でした。こんな日々に毎日畑に出て、田畑の面倒をみている農家さんに本当に感謝です。ぜひ皆さんも、彼らのお野菜を試してみてください。
(春山)