だいぶ遅くなってしまいましたが、1月13日にすみれやで開催した「原発からのいのちの守り方」の簡単なご報告です。
この日はフリーライターの守田敏也さんにお話ししていただきました。
原発事故に限らず、災害時には「大丈夫という思い込み(正常性バイアス)」という心のバリアが多くの人の判断を鈍らせます。また、「周りが正しいという思い込み(集団同調性バイアス)」によって、周りが逃げないと自分も逃げ出せないと言う状態に陥りやすいそうです。何となくそんな状態になった自分がイメージできてしまいます…。守田さんは、事前に避難訓練やいざという時を考えての準備をしておけば、緊急時にも余裕を持って対応することができると話していました。
原子力発電所で深刻な事故が発生したら、原子力事業所から国や周辺自治体に通報があります(第十条通報)。この状態にになると、テレビややラジオなどでも一斉に報道されるそうです。やはりいち早く情報を得て、それをもとに正確に判断することが重要になってきます。そして、できるだけ原発から遠くに「とっとと逃げる」ことが一番大切です。
原発事故で怖いのは、放射能の影響です。放射性ヨウ素が身体に入り、甲状腺に集まって被ばくをおこしてしまうケースが多いのです。放射性ヨウ素が飛んでくる24時間前までに安定ヨウ素剤を飲んでおけば、放射性ヨウ素が甲状腺に入ることを防ぐことができます。このヨウ素剤を自治体で配布しているところもあるのですが、京都市はまだそういった対策はとっていません。これで多くの人の被ばくを防ぐことができるのであれば、ぜひ対策をとってほしいものです。
この日の勉強会で、テキストとして使用した、兵庫県篠山市が作ったハンドブック『原発災害にたくましく備えよう』がマンガの挿絵の効果もあって、とてもわかりやすいです。このハンドブックを篠山市の許可のもと、ある方が増刷りをしてくださいました。すみれやにも数部ありますので、実費(100円)でおわけしています。ぜひ、このブックレットを熟読して、いつ来るかわからない原発災害に備えましょう。
先日も意外なところで噴火がありましたが、日本列島はいつどこで大きな地震や噴火があってもおかしくない状態です。それなのに日本政府は、原発を再稼働させて、新規の原発建設も検討しているという話も聞きます。「想定外」の事故がおこる可能性を私たちは今度こそ認識して、日々生活していかないとと思います。
すみれやで販売している『私たちの決断 あの日を境に…』には、原発賠償京都訴訟原告団の人たちの経験や思いが綴られています。2011年3月11日の東日本大震災に伴っておきた原発事故によって、まさか自分たちの生活がこんなに影響を受け、理不尽な状態に追いつめられるとはほとんどの人は思っていなかったでしょう。彼らの具体的な経験をこの本で追体験することは、私たちがいまだに抱えている可能性を直視することにもなるのではないでしょうか。こちらもぜひお手に取ってみてください。
これまでの震災から学んで、これからの生活に活かしていかないと、また同じことを繰り返してしまう。そもそも、原発を動かすことによるリスクをもっと考えていきたいと思ったりもします。あまりにも大きな問題。でも、周りの人とできることからやっていきたいと思っています。そのために、情報交換や学習をする場をこれからも時々持って行きたいなぁと思っています。
(春山)