昨年の9月に高知に天日塩を作っている生産者さんに会いに行った際に、念願の高知オーガニックマーケットに行くことができました。そこで出会ったのが安澤れみさんです。お味噌や夫が作った服と一緒に竹細工のザルやカゴを販売していました。竹細工に一目惚れしてしまった私は、図々しくも次の日にれみさんのお家まで押しかけて、すみれやで彼女の作品を販売したいとお願いをしました。

 

れみさんはもともと京都で竹細工を学び、お土産用の高級竹細工を作っていたのですが、何か違うと思い始め、今は山の暮らしの中で、日々使う道具としての竹細工を作るようになりました。彼女の生活も素敵だったのですが、道具を作る姿勢もなんだかとても共感してしまいました。

 

秋に製作を依頼して、年末に今回展示している6点が届きました。決して安いお値段ではありません。でも、竹を切るところから作品を仕上げるところまで彼女が責任を持って丁寧に作ってくれました。長く生活の中で使い続けることができる、しっかりとしたつくりです。よかったら店頭で手に取ってみてください。

 

以下、れみさんからいただいた作品の説明をご紹介します。

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<竹の切り出し>

1012月の新月の前後に近くの竹林に真竹を取りに行きます。これをストックしておいて、一年使います。この時期は竹の成長が休んでいて、虫が入りにくいのです。このように、竹を取って生のまま使う竹細工は青竹を使った「青物」と呼ばれます。

現在多くの竹細工は白竹と呼ばれる苛性ソーダで油抜き(苛性ソーダを入れた湯に通し、油をしみ出させ、拭き、乾燥させること)した竹を使っています。竹が白っぽくなりつやが出るので、高級感があり、青竹よりはカビにくいですが、廃液を川に流すため、環境負荷があります。

竹取りは非常に体力がいりますので、夫に手伝ってもらっています。

 

<ひごの制作>

取ってきた竹は汚れていますので、まず洗います。寸法に切り、節のところはとび出ているので削ります。その後ナタで割っていき、だいたい三回に分けてへいでいきます(薄く切ること)。竹は表皮に油分があり強いので、表皮のみ使います。

だいたいの幅と厚さにしたひごは、2本の刃物を木の台に打ち付けて、そこに一本ずつ通し、幅を正確にそろえます。次に刃物を打ち替え、面取りをしていきます。面取りをすることで、なめらかな手触りのかごになります。最後に、なたのような大きめの刃物を固定した台にとおして、ひごの厚さを揃えます。このようにひご作りは一本一本ですので、制作の半分はひご作りです。お弁当箱だと200本以上、刺し六ツ目ザルの大だと、3種類のひごを200本近く使います。

ひごが完成したら、水に濡らしながら編み、枠をつけて、籘でかがったり、竹で巻いたりして仕上げます。枠の仕上げ方でかごの耐久性が全て違ってきますので、特に気を使って作ります。

 

◎足付き六ツ目ザル

高さがあるので、焼き菓子やゆで野菜などの熱を冷ますのに便利です。極端に重いものは乗せないでください。「六ツ目編み」という編み方で、籐で仕上げています。

 

◎刺し六ツ目ザル

六ツ目ザルを編んだあと、刺繍のように縫うように細いひごを差し込んでいきます。その後裏面の太いひごでの六ツ目を重ねて編み、枠の内側で表と裏の編みを合わせて編み込みます。

二重になっているので、見た目の繊細さとは違い、非常にがっしりしていて丈夫です。ザルそば、ザルうどん、鍋のときに野菜を盛ったり、パンを入れたりと、食卓で活躍します。丈夫に作ってあるので一生ものです。

細いヒゴだけは竹の表皮を薄く小刀で削っています。そうすると年月が経つとあめ色へと変色し他のヒゴは象牙色に変色しますので、柄がはっきりとしていきます。使い続けていくと変化が楽しめるザルです。

 

◎お弁当箱

あじろ編み。お弁当箱の中身のかごは表皮が中にくるように編んであります。表皮は油分があるので、おにぎりなど直接入れてもくっつきにくいです。かごの四隅の角の部分を籐でしっかりと補強しています。かごは角から傷みますが、ここをしっかりと仕上げていますので、とても丈夫です。枠のかがりもみっちり巻いてますので、丈夫です。この枠と角の籐かがりに時間がかかるので、値段は高くなりますが、一生使っていただけると思います。

 

◎茶碗かご

水に濡れた状態でずっと、だとかごは傷むので、かごの耐久性には使う人の個人差が激しいかと思います。310年くらいの消耗品と考えてもらったほうがいいと思います。

器の当たりがやさしく、使い心地はとても良いです。器を伏せた後は、拭いてコンロの上などに吊り下げて乾かすとよいです。また、たまに熱湯を回しかけるとカビ防止になります。他の茶碗かごより丈夫に作られています。

 

<ザル、お弁当箱の手入れ>

普通に洗えます。

洗った後は水気を切り、しっかり乾かしてからしまってください。熱湯をかけたり天日干しもOKですが、蒸し器に入れると変形します。長期にわたり天日にさらすと傷みます。刺し六つ目ザルとお弁当箱の底に入れてある竹は取れにくく作ってありますが、まれに外れることもあります。その時はまたはめられます。

青竹は始めは青く、だんだんと茶に変色していきます。青みがある、特に梅雨時期などは、気をつけて使用してください。またどのかごも修理が可能ですので、いつでもご連絡ください。

 

かごを作る際に気をつけていることは、見て美しく、使って丈夫ということです。暮らしの中で、楽しく、気軽に使ってもらえたら幸いです。

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とても貴重なれみさんの竹細工の道具たち。127日(日)まで、すみれや1階奥の展示コーナーで販売しています。

(春山)