7月11日(水)に、耕し歌ふぁーむの松平さんに、「いのちのタネと農の未来のはなし 〜耕し歌ふぁーむの取り組み」というお題でお話しをしてもらいました。
まずは世界中の小規模農家に関するドキュメンタリー映像「未来を耕す人々」を皆でみました。フランス・モンペリエの農業大学院大学の学生40人が、インド、フランス、カメルーン、エクアドル、そしてカナダを旅して制作されたものです。この映像はインターネットから見ることができます。
「未来を耕す人々」
https://www.sffnj.net/study-guide
日本政府が目指しているような大規模な工業型農業は効率的で、世界の食料の担い手というイメージがありますが、実は人々の口に入る食料のたったの30%しか作っていないそうです。家畜の飼料やバイオ燃料にするための穀物の割合が多いからです。だけどそのために、耕地の70~80%、水資源の70%、また農業で利用する化石燃料の80%が消費されているとのこと。反対に、小規模農業、または家族農業は世界の人々の口に入る食料の70%を作っているとのことでした。
日本の農地は中山間地域が多くて、大規模な工業型農業はなかなか馴染みません。そして中山間地域で環境に配慮した農業を営むということは、食料を供給するということ以外の多面的機能も大きいのです。今回のような大雨の時にも里山にたっぷりと水を蓄えて少しずつ下流に送ってくれるのですが、誰も手入れしなくなったら、降った雨が一気に下流に流れ込むようになるでしょう。
工業型農業は経済的効率のためにあるわけなので、環境的・文化的な貢献はあまり期待はできません。とは言え、すでに農村では若い担い手が少なくなって来て、今の環境を維持するのも難しくなって来ているところが多いと聞きます。例えば、水害の後の水路(長いのです)の掃除などは、最近は高齢化した地域ではなかなか厳しいそうです。松平さんの地域では、街からボランティアにきてもらって、皆でなんとか水を通したと話していました(写真)。
本当は制度として、政府や行政が小規模農家に対するサポートをしていくのが一番なのでしょうが、現状は反対の方向に進んでいます。私たちができることはどういうことなのでしょうか。
すみれやは小規模で丁寧に田畑に向き合っている農家さんのお野菜をできるだけ販売していきたいと考えています。また、野菜や加工品の売り買いも、もっとよい方法はないかと日々考えています。
ちなみに国連では、2019~2028年の10年間を「家族農業の10年」とすることが決まりました。世界的にも、小規模農業が注目されているのですね。
京都周辺の小規模農家とともに元気な地域を作っていきたいですね。
耕し歌ふぁーむは、漬け物にしていたお野菜を始め、様々な伝統野菜を京都の京北で栽培しています。農薬や化学肥料は使わず、生態系のバランスの力を借り、自然からおすそわけしてもらう農業を営んでいます。すみれやでは、耕し歌ふぁーむの「里山のおすそわけ定期便」の受け取り場所になっています。第2・4水曜日に定期便が届きます。1回2,400円(フルサイズ)、1,200円(ハーフサイズ)、600円(1/4サイズ)です。畑の収穫量によって、おすそわけが多い時も、少ない時もあります。耕し歌ふぁーむの取り組みを応援しながら、旬のお野菜をいただきたい方、ぜひご登録ください。「里山のおすそわけ定期便」のお申し込みは、以下のサイトのフォームからお願いします(うまくいかない時は、すみれやにご連絡ください)。
耕し歌ふぁーむ 里山のおすそわけ定期便
これからも、すみれやではこのようなお話し会を時々開催していきたいなぁと思っています。どうやったらもっと安心して暮らし、おいしいものを食べていけるようになるか、皆さんと一緒に考えていけたらと思います。(春山)